美濃友禅 河村尚江染色展 ーThe Earthー

2024.5.10(金)ー19(日) 月火休廊 12:00-17:30 最終日16:00終了


自然が身近にあることで日常が豊かになります。今回は自然をテーマにし、色彩と文様によって宇宙の広がりや生命力、自然界の色などを表現します。是非ご高覧下さいますよう宜しくお願い申しあげます。


 河村尚江 Naoe Kawamura

 ○プロフィール

岐阜市生まれ

多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士課程終了

河村尚江デザイン事務所主宰

現在は岐阜市を拠点に、国内外で展覧会を開催している。テキスタイル作品の制作の傍ら、オリジナルブランド「美濃友禅 Naoe Kawamura」を立ち上げ、服飾小物の制作・販売、オーダーメイドの作品・衣装等の受注制作も行っている。岐阜市役所新庁舎ほか、ホテル等での作品起用多数。

 

○「美濃友禅」の可能性 ——新しい染織表現の追求

 

河村尚江は、自身の作品を「美濃友禅」という新しい表現として発表してきました。作品には、友禅染で用いられる技法(糊置・型染め・無線友禅など)で文様が描かれます。そうした伝統技法を、従来の友禅染にはない、鮮やかな彩色、タペストリーの形態を活かしたグラデーション、ダイナミックな文様などの抽象的表現と融合させ、「美濃友禅」として独自の世界観を表出しています。河村の作品には、長年にわたって培われてきた日本の伝統工芸の美と、地域性や文化の違いを超えて観る者に訴えかけるコンテンポラリーな感性が併存しています。過去と現在、ローカルとグローバルをむすぶような、新たな表現を、河村の美意識を育んだ、この岐阜・美濃の地から発信し、後世に伝えてゆく——そんな自負が、河村が提案する「美濃友禅」には込められているのです。

 

○制作へのこだわり ——表現・素材

河村は、色彩と文様によって、宇宙のひろがりや自然の生命力、人々が心に抱く感情など、さまざまな世界を視覚化します。色の重なりによって異なる表情をみせる色彩には無限の可能性があり、平面でありながら、奥行きと壮大なスケールを表現することができます。抽象表現だからこそ、観る者は色彩や文様にさまざまなイメージを投影し、河村の世界観に共鳴し、活力や安らぎ、浄化を感じ取ることができるのです。

また、岐阜で生産されている絵絹(えぎぬ)を用いていることも、河村の作品の特徴であり、個性です。通常は日本画などを描くために使われる上質なシルクを、染色作品に用いることによって、鮮やかで深みのある色彩と独特の光沢をもつ作品になります。自らの表現に欠かせない貴重な素材を、当地の産業との協働によって継承していくこともまた、作家としての河村のスタンスであり、「美濃友禅」のオリジナリティなのです。

 

○伝え方・見せ方へのこだわり

現在河村は、主にタペストリーという形態の作品を制作しています。タペストリーは、壁画などと異なり、可動性のある作品であり、例えば季節や、オケージョンに合わせて入れ替えることも可能です。差し込む光によって、また、わずかな空気の揺らぎによって、表情を変える河村のタペストリーには、たった一点でも、空間を特別なものに変える力があります。さらに、複数点を展示すれば、作品同士の重なりによって、また異なる空間演出も可能となります。河村はこれまでにも、クライアントのご要望に応えつつ、さまざまな建築空間に対して相応しい作品を提案してきており、名古屋プリンセスガーデンホテルのレセプション(常設)や、名古屋ゲートタワーホテルのエントランスロビー(2021)、岐阜市役所会議室(常設)のほか、古民家など日本家屋などでも作品が起用されています。

一方で、河村が立ち上げた「美濃友禅 Naoe Kawamura」では、ストールやマスクなど、手に取り、生活の中で河村の作品を楽しむことのできる商品を制作販売しています。購入者からのフィードバックもまた、河村の制作を支える一つの原動力になっています。

 

○国内外での評価

河村は毎年精力的に展示を開催しており、近年では、岐阜県博物館(2021)、ノリタケの森ギャラリー(2021、2022,2023)、THE TOWER HOTEL NAGOYAギャラリールーム(2023年)などの国内展示のほか、Ashok Jain Gallery(アメリカ・ニューヨーク)での個展、メゾン・エ・オブジェ・パリ(フランス・2023、2024)への出品など、海外でも作品を発表し、好評を得ています。

                           Text:河村尚江デザイン事務所




<河村尚江プロフィール>   

染色家、テキスタイルデザイナー

岐阜市生まれ

所属団体 光風会会員、日本テキスタイルデザイン協会会員、愛知芸術文化協会会員、

岐阜日仏協会会員、岐阜ゾンタクラブ会員

 

1994 多摩美術大学美術学部デザイン科染織デザイン専攻卒

1996 多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士課程修了

1998 河村尚江デザイン事務所設立

2017 「美濃友禅」商標登録

 

<主な芸術活動>

2023~2024 出展 Maison et Objet Paris(フランス)

2023    個展 Espace Sorbonne 4(パリ・フランス)

      企画展・講演 コソボ-日本友好協会・UBT大学(コソボ共和国)

企画展 ザ・タワーホテル名古屋(名古屋)  

個展 Galerie numero 9(岐阜)

企画展 各務原市役所(岐阜)

出演 東海テレビ「ぐっさん家」

2022    個展 ギャラリーマルキーズ(名古屋)

      個展 AC.ギャラリー(東京)

2021    個展 岐阜県博物館(岐阜)

2020        個展 各務原市立図書館(岐阜)

      個展 ギャラリーいまじん(岐阜)

2019      企画展 日本橋高島屋 (東京)

2018~2019 個展 ギャラリーミュゼ(金沢)

2018    個展 名古屋三越栄店(名古屋)

2017~2018 個展 Ashok Jain Gallery (ニューヨーク・アメリカ)

2017~2023 個展 ノリタケの森ギャラリー(名古屋)  

2016~2019 日本クラフトデザイン展 (東京)

2014~2019 第25―30回 光風会 「明日へのかたち展」京都文化博物館(京都)

2012~2023 光風会

1996〜1997 U.S JAPAN EXPO(ロサンゼルス・アメリカ)

 

<受賞歴>

2021 第25回オアシス2021「大阪市長賞」(大阪)

2019 第105回記念光風会展 「光風会会友賞」

2016 第102回光風会  「奨励賞」

2013 ゴッホ生誕160年記念 ジャパン芸術祭 「金賞」(フランス)

第99回光風会 「中日賞」

2010 PARIS 芸術生誕録展「芸術生誕禄諏褒賞」(フランス)

   ショパン生誕200周年 アートラベル展「美の旋律芸術賞」(フランス)

2005 第1回 織部クラフトデザイン大賞 入選(岐阜)

2004 ジャパンテキスタイルコンテスト’04 入選(愛知)

2003 織部 in NY クラフト展 入選(アメリカ)

2001 第15回 国民文化祭 入選(広島)

1995 国際丹南アートフェスティバル’95 入選(福井)

1994 第13回全国染織作品展 入選・横浜シルク博物館 (横浜)

           

<Public Collection>

岐阜市役所 4階 議会ロビー

<常設展示>

岐阜商工信用組合本店(岐阜)

プリンセスガーデンホテル(名古屋)

ギャラリーマルキーズ

2019年春名古屋市昭和区石川橋にオープンのギャラリーです。